そういえば、言葉は完全じゃない。
まいにちの「好き」一つひとつに、数えきれないほどの個性があるように。
あめの霧たちこめる朝の湖。ペットショップに閉じ込められた二か月うさぎ。
悪評高いけれど心地よい音。安心をくれる遠くの優しいひと。
宝石みたいな文字列。ずっとむかしのヴェローナ、悲恋映画。
いまの気持を昇華できることばを、ほんのわずかしか知らないけれど、
ぎゅっとせばめてしまっては、ごちゃごちゃと同じ。
わあ。あぶない。言葉に忠実であろうとしていた。
考えをとめて、言葉に身を委ねてしまっていた。
ボキャブラリーは世界?
そうかも。